いろいろな宿便の出し方を試しているのに、なかなか宿便が出ない場合、強制的にマッサージによって宿便を押し出した方が、効果的なケースがあります。
宿便がたまり始めたばかりなら、いくつかの宿便の出し方を試すだけで、スムーズに宿便が出るケースが多いのですが、何年も宿便が滞留した状態で生活してきた人の場合、宿便が大変頑固になっています。
多少、腸の動きを良くしたところで、宿便がウンともスンとも言わない、というような場合もあるのです。
そんなときには、外側から物理的にマッサージを行うことで、宿便を強制的に動かしてしまうという宿便の出し方があります。
宿便を出すマッサージをする前の注意事項
マッサージは、宿便の出し方としてとても有効ですが実践する前に、いくつか注意事項があります。
食後は避けること
食後は、胃腸に食べ物が入っているので、マッサージをすることで消化不良を起こすことがあります。
激しい痛みが出たり、気分が悪くなったりする危険もありますので、食後は避けましょう。
食事を食べる前の、空腹なタイミングが、マッサージをするのに最適です。
強い力をかけないこと
宿便をなんとか出したい!という気持ちが急くばかりに、強い力で強引にマッサージをしてしまう人がいます。
これは、腸を痛めてしまい、逆効果になりますのでやめましょう。
強い力はかけずに、自分で気持ちが良いと感じられる程度の、やさしいタッチで行ってください。
やりすぎに注意すること
マッサージを始めると、つい長時間、何回もやりたくなることがあります。
しかし、マッサージをしすぎることも、腸にとっては負担になってしまいますので、控えるようにしましょう。
1日に1〜2回を、毎日コツコツと続けることが、宿便の解消に役立ちます。
手を温めて行うこと
冷え性の人は特に注意して欲しいのですが、冷たい手でマッサージをすると、腸が冷えて逆効果になります。
マッサージを行う前には、手を温めておくようにしましょう。
体調が悪いときや生理中は避けること
体調が悪いときや生理中は、いつもと体の状態が違うので、マッサージは避けておいた方が良いでしょう。
同じく、極端に睡眠不足だったり、疲労がたまったりしているときも、マッサージはお休みしましょう。
宿便マッサージの方法
マッサージ前の注意事項が把握できたところで、早速、宿便の出し方としてのマッサージ法をご紹介していきます。
(1)腸もみマッサージ
腸もみマッサージは、その名の通り、腸をダイレクトにもむマッサージです。
あおむけでも、椅子に座った状態でも、立った状態でもできるので、一日の中の隙間時間に手軽に取り組むことができます。
腸もみマッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
脇腹をつかむように、ウエストの横に手を置いて、モミモミモミ……と10回もみます。
おへその左横に小腸があるので、この部分をもみほぐします。軽い力で指の先を使って、グリグリと押すようにしましょう。
次に、おへその右下から大腸が始まっているので、この部分をもみほぐします。宿便がたまっている場合、ここがしこりのように固くなっています。
軽い力で、丁寧にもんでいきましょう。
続いて、そのまま時計回りにもんでいきましょう。
大腸は、おへその右側から時計回り(右回り)に回り、出口が左下の下腹部になります。この道を、宿便が通って出て行ってくれるようにイメージしながら、行ってください。
以上で、ワンセットになります。
ポイントは、マッサージする向き。大腸は、
おへその右下→右上→左上→左下→肛門
の位置にあります。この流れと逆向きにマッサージすると、さらに宿便が滞ることになりますので、向きに注意しましょう。
(2)「の」の字マッサージ
腸もみマッサージより簡単にできるのが、「の」の字マッサージです。
おへそから始まって、「の」の字を描くようにさするだけ。いわば、腸もみマッサージの簡易版のような感じで、宿便の移動を助けてくれます。
トイレに行く前の習慣にすれば、出した後のスッキリ感が変わってきます。
(3)挟み撃ちオイルマッサージ
宿便は、お腹が冷えていると、よりひどくなります。冷え性の人は、お腹の血行を促進して、お腹を温めるように心掛けましょう。
お腹の血行を良くするためにおすすめなのが、「挟み撃ちオイルマッサージ」です。
挟み撃ちオイルマッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
お風呂に入り、体全体をよく温めておきます。
お風呂から上がって体を拭いたら、手のひらにボディオイルをたっぷり取り、両手のひらをこすり合わせるようにします。
その手を、片手はお腹、片手は腰に当て、両手で挟み込むようにします。
その状態で、クルクルと円を描くようにマッサージします。
このマッサージ法は、お腹と背中を同時にマッサージするので、お腹の奥(体の芯)まで血行が促進され、冷え性が改善しやすいのが特徴です。
また、使うボディオイルに、宿便に効果があるアロマオイル「フェンネル」「マジョラム」「オレンジ」などを混ぜると、さらに効果が倍増します。
次の日にドカンと宿便が出ることもあります。
なお、余談になりますが、女性の場合、「子宮」の温めにも役立つため、生理痛がつらいときにもおすすめです。
(4)ボウルマッサージ
非常に頑固な宿便に悩まされている人におすすめなのが、強力なパワーのある「ボウルマッサージ」です。
ボウルマッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
キッチンで使う「ボウル」を準備します。
そのボウルの上に、下腹部を乗せるようにして、うつぶせになります。
宿便が動くように、かける体重やバランスを加減しながらマッサージします。
この方法は、自分の手だけでは届かない、お腹の奥の宿便にまでアプローチできる方法です。
ただし、その分、とても効果が強いので、体重のかけ方を間違えると腹痛を起こすことがあります。
無理せずに力をかけすぎず、様子を見ながらマッサージしてください。
ボウルの大きさによっても、アプローチできる位置が変わりますので、自分に合うボウルを探してみましょう。
(5)落下腸マッサージ
「落下腸マッサージ」は、腸が落下している人向けのマッサージです。
「胃下垂」という言葉を聞いたことがあると思いますが、胃下垂は本来、みぞおち辺りにあるべき胃が、下腹部まで下垂している状態です。
落下腸は、いわば胃下垂の大腸版。本来あるべき位置に大腸がないので、骨盤の中で大腸が折れ曲がり、便の通り道が狭くなってしまいます。
すると、狭くなっている部分に、宿便がたまりやすくなるのです。
胃下垂の人は、胃に押し下げられて大腸も下垂しやすいので、落下腸になっている可能性が高いでしょう。
落下腸マッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
あおむけに寝て、両膝を立てます。
腰の下に、バスタオルを巻いて筒状にしたものを入れます。腰が10cm程度、浮けばOKです。
両手を重ねて、恥骨の部分に当てます。そこから、おへそに向かって、マッサージします。
恥骨側に落ちている腸を、おへその位置に押し上げるようにイメージしましょう。
こうすることで、いつも、下腹部辺りがポッコリと膨らんでいる人も、それが押し上げられて、下腹部がペタンコになるのが分かるかと思います。それが、本来の状態です。
最初のうちは、しばらくするとまた腸が落下して元の位置に戻ってしまいますが、マッサージを続けるうちに、徐々に正しい位置をキープすることができるようになります。
また、落下腸マッサージは、お風呂の湯船に浸かっているときにもおすすめです。水の中では、浮力(上に浮き上がる力)が働くので、落ち込んだ腸を上に引き上げやすくなります。
(6)ねじれ腸マッサージ
落下腸の他にもうひとつ、宿便がたまりやすい腸の状態があります。それが、「ねじれ腸」です。
ねじれ腸は、腸がねじれている状態。水道の蛇口でつないだホースをねじるとねじれたところで水が止まるように、宿便がねじれた腸の部分で止まって、停滞してしまいます。
ねじれ腸は、生まれつきの腸の形状によることが多いので、治すことは難しいものです。
しかし、腸がねじれている場所をマッサージすれば、ねじれ腸でも宿便が出せるようになります。
ねじれ腸マッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
腸のねじれが起きやすい場所を、手で触って確認します。
・あばら骨の下辺りで右から左へお腹を横切っている「横行結腸」
・横行結腸からつながって左脇腹を下に下がっていく「下行結腸」
・下行結腸から肛門へとつながる恥骨の上辺りにある「S字結腸」
この中で、触ってみて固さを感じる部分があれば、そこがねじれて宿便がたまっています。
「横行結腸」に宿便がたまっている場合は、横行結腸に両手のひらを当てて、そのまま上下にゆさゆさと揺するようにします。
横行結腸の宿便が、揺れて下へと落ちていくようにイメージしてください。
「下行結腸」宿便がたまっている場合は、右手の手のひらを左脇腹をつかむように当てて、そのまま下へさするようにスライドさせます。10回行いましょう。
「S字結腸」に宿便がたまっている場合は、恥骨の上部分に右手の中指・人さし指・薬指の3本を押し込むように当てて、その場で小さな「S」の字を描くように細かくマッサージします。10回行いましょう。
この他に、ねじれ腸の人は、「ツイスト運動」が効果的だといわれています。ラジオ体操の左右にひねる運動をしたり、ゴルフやテニスなどのひねる動作があるスポーツをしたりするのがおすすめです。
(7)ゆらゆらマッサージ
ゆらゆらマッサージは、宿便が滞留している腸を、ゆらゆらと揺らすことで、動きやすくするマッサージです。
コツは、余分な力を抜いて、「だら〜っ」とリラックスした状態で行うこと。夜寝る前など、気持ちが落ち着いているときがおすすめです。
ゆらゆらマッサージによる宿便の出し方は、次の通りです。
あおむけに寝て、リラックスし、全身の力を抜きます。
お腹の上に両手を置き、ブルブルブル……と小刻みに震わせるようにします。両手は重ねずに置いて、できるだけ広範囲を震わせるようにしましょう。
その状態で、骨盤をゆらゆらと左右に揺らしましょう。「マーメイド(人魚)」になったつもりで、腰から下をくねくねと揺らしてください。30秒を1セットとして、3〜5セット行ってください。
このゆらゆらマッサージは、骨盤のゆがみを取る効果もあります。
骨盤のゆがみは宿便の原因になりますから、ゆらゆらマッサージをしながら、骨盤も整えていきましょう。
(8)つむじマッサージ
昔、「つむじを押すと、下痢をする」と聞いたことはありませんか?
根拠のない話のように思えますが、実際につむじには、便秘に効くツボがあります。
シャンプーをするついでに、つむじをマッサージするようにしましょう。
人さし指と中指を使って、グリグリと強めに指圧するようにマッサージすると、宿便が出やすくなります。
(9)親指の付け根マッサージ
手の甲側の、親指の付け根と人さし指の付け根が交わるところにある、少しへこんだ場所は、「合谷(ごうこく)」という、宿便に効果があるツボです。
気付いたときに、マッサージするようにしましょう。
もう片方の手の親指と人さし指で、挟むようにしてグリグリと揉みほぐすようにしてください。グーッと押すようにしてもOKです。5秒×3回程度、行いましょう。
なお、このツボは、便秘以外にも、特に女性のあらゆる悩みに効果があるツボとして知られています。例えば、
・頭痛
・肩こり
・不眠
・肌荒れ
などに効果があり、「万能のツボ」と呼ばれるほどです。
仕事中でも、家事の合間でも、お風呂でも、いつでも簡単にマッサージできるのもうれしいところ。
合谷をマッサージするようになってから、宿便がどっさり出たという人もいますから、毎日続けてみましょう。
まとめ
マッサージによる宿便の出し方だけでも、たくさんの種類があり、驚いた人もいるかもしれません。
これらのマッサージは、人によって相性がありますので、まずは自分で試してみることが重要です。
マッサージをした後に心地良い感触があり、お腹の中で腸が動く実感が得られれば、そのマッサージはあなたに合った宿便の出し方です。
ぜひ、マッサージで宿便のない腸を作っていきましょう。